仙台高等裁判所 昭和28年(う)794号・昭28年(う)795号 判決
公訴棄却の申立に対する判断を判決においてなす場合、必ずしもこれを直接的明示的に示すことを要するものでなく、間接的黙示的にその判断を示しても差支ない。
共犯関係に立つ被疑者数名ある場合、その中の一人は他の共同被疑者に対する関係においては刑事訴訟法第二二七条第二二三条の「被疑者」に該当しないものであり、そのことは右の一人が既に起訴せられた場合においても同様であると解するのを相当とする。
刑事訴訟法第二二七条の証人尋問の請求をするには同条第一項所定事由を疎明しなければならぬこと勿論であるが、その疎明資料の如きを別に法廷に顕出した後記録に編綴しておかなければならぬという規定は存しないから、右の如き資料が記録にないからとて直ちに所論のように何等疎明をしなかつたと速断するを得ず、却つて、反証のない限り、所定の疎明があつて後裁判官において、前記証人を尋問し、その証書が作成されたものと認めるを相当とする。
刑事訴訟規則第一六〇条第七号が刑事訴訟法第二二七条の証人尋問請求書に弁護人の氏名を記載すべきことを定めているのは、裁判官に対し当該被疑事件(又は被告事件)につき弁護人が選任せられていることを知らしめ、以て刑事訴訟法第二二八条第二項により弁護人としてその証人尋問に立会わしめるか否かの判断の機会を与えるためのものであると解すべく、このことは論旨も認めているところである。
従つて、右請求書に各弁護人の氏名の記載を欠いても、事実上、裁判官をして右の判断をするに必要にして十分な措置を講ずるならば、右弁護人の氏名の記載を要請する法の趣旨は貫徹されたものであつて、右書面にその氏名を記載しなかつたことによつて、右証人尋問請求の違法又は無効を来たすものではないと解すべきである。